グループホーム「アショカ」開設にあたって

医療法人ビハーラ 藤原胃腸科 藤原壽則

  医療法人ビハーラ藤原胃腸科は4月1日、松山空港に近い松山市南吉田町にグループホーム「アショカ」を開設しました。平成14年2月に松山市安城寺町にオープンしたグループホーム「ルンビニー」の姉妹ホームです。

  グループホーム「ルンビニー」の開設から2年、スタッフたちはひたすら入居者たちの自立支援のためのよりよいケアを求めて、入居者たちと共に生活する中で、なじみの関係作りなどに日々取り組み、研修会に出席し、ケースカンファランスを持ちながら学習を積んできました。

  ホームに施設から紹介された人たちのうちには、施設ではほとんど寝たきりの毎日を送っていた人がグル−プホームに入居し、共同生活を送ることで、自分にできること、自室の掃除、洗濯やその整理、食事の準備などを自分の仕事と認識し、その作業に従事するようになってきました。しばしば、家族たちもこの変化に驚き、喜んでくれています。スタッフは、入居者たちが、表情が日々晴れやかになり、元気を取り戻し、輝いてくる様子から勇気と力をいただきながら仕事に取り組む日々です。

  しかしながら一方では、入居者は、高血圧症、糖尿病、心臓、腎臓疾患など慢性疾患を持つ人も多く、更に加齢による日常生活能力の低下、痴呆の進行によって、生活支援から身体介護や、看護、医療が主となる方、ターミナルケアから看取りとなる方もいらっしゃいます。今、国もグループホームでのターミナルケア、看取りに関して、全国的なアンケートを取るなどして、検討を進めています。当ホームでは、ご本人、ご家族が希望すれば、ホームでターミナルケア、看取りまで行うことにしています。グループホーム開設から2年間で4人の方を看取らせていただきました。

  このように、グループホーム「ルンビニー」での2年間の経過で、生活介護と共に、身体介護を中心とする入居者をターミナルケアまで行う場合には、ルンビニーの2ユニットのみではどうしても地域の要望に応えることが難しくなってきました。

  当法人では、10余年來、医療、福祉の場に仏教による心の手当てを導入しています。「愛媛・仏教と医療を考える会」の僧侶たちが入居者たちと対話しながら、お勤めをし、カウンセリングに当たってくれています。グループホーム「ルンビニー」で看取りを行ったKさんは、仏教的儀礼の臨終行儀で看取らせていただきました。今春からは新進気鋭の僧侶も勤務してくれることになりました。高齢者たちに対しては、心と体の両面からケアが必要だと常々考えています。今後は、グループホームにおけるケアに、さらに濃い仏教的ケア、スピリチュアルケアを導入してゆきたいと思っています。

 以上のような背景から、ケアスタッフの強い希望もあって、地域の要望に応えるためにオープンしたのがグループホーム「アショカ」です。グループホーム「アショカ」の開設に当たっては、グループホーム「ルンビニー」での2年間の経験を踏まえて、スタッフたちがホームの設計から開設までの全ての準備に当たりました。建物は平屋の2ユニットとし、入居者たちが木々やいろいろな花などの四季のうつろいを体感し、散歩や運動もできるように中庭を広く取りました。中庭では、10余年にわたって当法人の仏教的癒しに関わってくれている東林寺の杉本住職から寄贈された大きな石の地蔵さんがやさしい眼差しでみんなの日々を眺めています。入居者たちが一番多くの時間を過ごすリビングルームを広く取り、カンファランスルームを作り、入居者たちがくつろいだり、朝のお勤めができるように両ユニットに和室を設けました。

  このホームを地域の高齢者たちの共同生活の場とすべく、力一杯の努力を積んでゆきたいと考えています。

  最後に新規開設したホームのネーミングについて触れておきます。ホームの名称は「アショカ」、南側、北側のユニットはそれぞれ「日輪(にちりん)」、「月輪(がちりん)」と名付けました。アショカはサンスクリット語で「無憂樹」と漢訳されています。アショカ樹は端兆をあらわす霊木で、春になると緋紅色の美しい花を咲かせます。その花の一枝を手折ろうとしてマヤ夫人が右腕をあげた途端、その脇の下から釈尊が誕生したという古い言い伝えがあります。「日輪」は太陽、真言密教では大日如来を意味し、全宇宙のありとあらゆる生命体にエネルギーを与えているものです。入居者たちの「元気の素」の願いを込めた命名です。「月輪」は、円満で清浄な月、仏教では慈悲に通じるもので、「思いやりのこころ」の意味をこめての命名です。

グループホーム「アショカ」を大切に、大切に育てたいと考えています。

お花見

施設長 相原あや子

 4月8日、ルンビニーとアショカのみんなでお花見に行きました。場所は昨年と同様で、松山市内の成願寺に隣接する久万台公園です。ここは小さな公園ですが、公園をぐるりとさくらの大木が取り囲み、公園中がさくらに包まれている、そんな風景をご想像ください。前日夜、少し雨が降り心配しましたが、朝にはあがっており一安心。

  さくら、さくら、今、咲き誇る
  さくら、さくら、ただ舞い落ちる
  さくら、さくら、いざ舞い上がれ

 
 歌手、森山直太朗さんの歌う「さくら」の1フレーズです。満開のさくらと花びらのピンクのじゅうたん、風が吹くたびに青空に舞い飛ぶ花びら・・・森山さんの歌が私の脳裏に何度も何度も巡ってきます。

  Nさんは日ごろ倦怠感が強く、食事の時意外はほとんどベッドの上で過ごされています。そんなNさんの日常を考えると、お花見に行くのは無理だろうとスタッフは思っていました。でもお花の大好きなNさんです。ご自分の意思表示のできる方なので聞いてみました。すると「行きたい!」と即返事が返ってきました。
  満開の桜の下のNさんの満面の笑顔・・・あ〜Nさんも一緒に来てほんとうによかった。スタッフも満面の笑顔です。Nさん達数名の方は長時間のお花見は疲れるので、公園をしばらく散策してルンビニーに帰り、お弁当を食べました。


  お花見の宴はMさんのいつもの挨拶がないと始まりません。
  「今日は満開のさくらの下でみんなとお花見ができてほんとうにうれしゅうございます。楽しくお弁当をいただきながらお花見しましょう。」
  Mさんは奥さんも来られ、仲良くお弁当を食べたり、散歩をされたりのひと時を過ごされていました。


  スタッフTは地面に落ちた花びらを集め、花咲か爺さんならぬ花咲か兄さんに扮し、みんなの頭上に花びらを舞い散らしては入居者さんに喜んでもらっています。何とも彼らしい演出です。


  おすしや桜餅の入ったお弁当を食べ、お菓子をつまんだりジュースを飲んだり、散歩を楽しんだりで数時間はあっという間に過ぎ、ルンビニー、アショカへとそれぞれ帰路に着きました。満開のさくらは私たちの心をふんわり暖かく包んでくれます。入居者それぞれの方の心に焼きついたさくらは如何だったでしょうか。


追伸:
外出する時、必ず確認することはトイレです。昨年は障害者用トイレがなく、ポータブルトイレを持参しました。今年はトイレが建て替えられ、障害者用トイレも設置されていました。が、下見に行ったスタッフ、「前日に掃除に行きます。」 7日の夕方、スタッフ2名バケツや棒ずりを持って掃除をしに出掛けました。本当にご苦労様でした。
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