お接待2

施設長 相原 あや子

 昨年7月の「ルンビニーだより」に、お接待させていただいた方から送られたお便りと冊子を紹介させていただきました。あれからも時々ご縁あるお遍路さんが立ち寄ってくださいます。丁度食事時ですと一緒に食べていただいたり、先を急がれていらっしゃれば庭先でお茶をお出しすることもあります。
  どの方ともほんのひと時のご縁で、旅のご無事を祈りみんなで見送らせていただくのです。その方々から後々お便りをいただくことがあり、今回お二人のお便りを紹介させたいただきます。

  東京都から来られたKさん(女性)からいただいたお便り
 ルンビニーの皆様、   お元気でお過ごしでしょうか。
 私は4月17日(土)、歩き遍路の途中、皆様の暖かいお接待を受けて、楽しいひとときを過ごさせていただきました。孤独な単調な一人歩きで、疲れきっている時でしたから、本当に有難く、皆様とお話出来た事を深く感謝しております。

(〜中略〜)

  皆様の暖かいご接待に支えられて、26日、88番大窪寺に到着、27日に1番霊山寺にお礼参り、28、29日に高野山にお礼参りと無事結願する事が出来ました。本当にありがとうございました。

  その足で故郷広島に帰って、5月2日母の三回忌を済ませ、5月5日に東京に帰って来ました。昨年1〜43番、今年44〜88番と2年がかりの歩き遍路をやり遂げられたのは、皆様の暖かいご接待のお陰です。人生の先輩である皆様から受けた親切を皆様に直接お返しすることは出来ませんが、教えは引き継いでいきたいと思います。

  これから暑くなりますが、皆様お身体を大切になさって、長生きして下さい。
  お世話なさっているスタッフの皆様、とてもやさしくて、私も将来入居したいなと思いました。いろいろご苦労もおありと思いますが、いつまでも笑顔を忘れず、居住者のために頑張って下さい。
  本当にありがとうございました。
  遅くなりましたが、お礼とご報告まで。

  次は、遠く宮城県仙台市から来られたSさん(男性)です。入居者Oさんとスタッフが畑に植える苗を買いに車で走っていますと、とても辛そうに歩いておられるお遍路さんをお見かけしました。思わず車を止め声をかけたところ、「腰が痛くて・・・」とのこと。車のお接待を申し出たところお受けくださり、とりあえずルンビニーまでお連れしたのです。家の中に入って休んでいただくことをお勧めしたのですが、「ここで・・・」と楠の木の木陰に横たわられて動けなくなりました。私たちはただ心配して見守るだけで何もして差し上げることが出来なかったのですが、約1時間くらい経ったでしょうか、起き上がられて、「もう大丈夫です。」と旅立つ準備を始められました。

  あれからどうされたのか問うすべもなくいましたところ、先日Sさんからお便りが届きました。最後まで歩き遍路を通され結願されたとの文面に、よかったと安堵の想いと共に、信仰心からきているのでしょうか、Sさんの強靭な精神力に背中を押される想いでお便りを読ませていただきました。

  Sさんからのお便り
グループホーム・ルンビニーの皆様
  4月29日車のお接待を受け、貴施設についた途端、動けなくなった歩き遍路のSです。大変ご迷惑をおかけしたうえ、治療やら数々のお接待をいただき本当に有難うございました。改めて厚くお礼を申し上げます。
  大変ご心配をおかけしました。あのようになった背景とその後のことについて、以下お伝え申し上げます。

  3月30日、1番札所にお参りして、4〜5日目から腰痛がありましたが、腰掛けても立ち上がることが出来る状態でした。当日11時半ころ道後温泉本館前で一時休憩した後、立ち上がる際片手で背負い荷物を持ち上げたときに背骨を痛めたのでした。
  そのときも、足を前に進めることが出来なくなったのですが、5〜6歩先の民家の軒先まで時間をかけて進み、少し横になったあと、5〜60歩先の道後温泉本館前の食堂まで10分も係ったかと思う位の時間をかけて歩を進めたのでした。食後、運良く立ち上がることが出来、しばらくして背骨が落ち着き、正常に歩いていたとき、車接待のお声を掛けられたのでした。車に乗るとき腰を浮かせて乗れば醜態をさらさずにすんだものと思いますが、ドカンと深く座ったものですから、腰を直角にしたため背骨がズレたのだと思います。芝生で休ませて戴きましたが、植木につかまり立ち上がったものの足を前に進めることが出来ませんでした。背骨に激痛が走り、進退窮まったのでした。
  そのとき、一瞬、お大師さまにお仕置きされた!と、思ったのでした。

  「般若心経を3回唱えたのです。歩けるようになりました。」と話しをしたら、「信仰心が厚いからですね」と施設の方に言われましたが、信仰心なんてないです。

(〜中略〜)

  「お仕置きされた」と思ったのは、立江寺の宿坊に泊まった際、六波羅蜜を平易な言葉で解説したパンフレットをいただき、夫々の項目について、その日1日を振り返る習慣となっていたので、「一生懸命頑張ろうとしたか」、「続けていることをやめなかったか」を反省したとき『精進』に欠ける考えをしたことから「お仕置き」されたと思ったのでした。

  心経を念誦して背骨の痛みが直ったことを話すと凡その方から聞き流されます。しかし、一歩も前に進められなかった足が動かすことが出来たことも事実なのです。私にとって般若心経は
「照見五蘊皆空度一切苦厄」
であり、
「能除一切苦真実不虚」
の文言も素直に受け止められたのでした。

  さて、その後については、再発するのを恐れ、腰かけて休むのが怖くなり、立ち休みで休息するようになりました。3種類の祈願に「腰痛平癒」も加わり、度々祈願するようにもなりました。野宿のベテラン遍路から立ち休みは身体に良くない、しっかり休むようにと諭され、以後恐る恐る腰掛け休みをするようになったのでした。

  その後、腰くだけの状態になることなく、5月10日八十八番札所で満願成就。11〜12日高野山にお参りして13日帰宅しました。

  礼状遅くなりましたが、貴施設のご発展と皆様がたのご健勝を祈念申し上げお礼に替えさせて頂きます。

追伸:
  第二の職場で老人保健施設を立ち上げ、6年間精神病院と老人保健施設に携わった経緯がありましたので、車のお接待を有難くお受けしたのでした。入所者の皆様とお話し出来なかったことが残念ですが、釈迦の生誕地ルンビニーを施設名とする貴施設で、般若心経を念誦して進退窮まった窮地から救われたことは無上の宝を頂いた思いです。ありがとうございました。
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