福祉サービス利用援助事業(地域福祉権利擁護事業)

医療法人ビハーラ 藤原胃腸科 藤原壽則

 福祉サービス利用援助事業は高齢者や精神障害者等で、判断能力が十分でない人が地域で自立した生活を送れるよう、福祉サービスの利用援助等一連の援助を行う制度である。平成11年10月に創設された事業であるが、内容や利用方法などが複雑で、特に成年後見制度との関係など、一般の人は勿論、福祉関係者からも分かりづらいとの声が聞かれる。

  先般本ホームページで紹介した「成年後見制度」と並ぶ権利擁護事業であるが、「成年後見制度」が、「民法」を根拠法として契約や財産管理等について、保護・支援する制度であるのに対し、「福祉サービス利用援助事業」は、福祉サービス利用援助、日常的金銭管理、書類等の預かりなどを主な支援内容とするもので、「社会福祉法」を根拠法とするものである(社会福祉法第2条12号で第2種社会福祉事業社会福祉法第8条で都道府県社会福祉協議会に義務化)。
  以下、福祉サービス援助事業の内容を概説する。
  1. 事業の対象者

    痴呆高齢者、知的障害者、精神障害等で判断能力が不十分な方
    判断能力がない者は非該当
    本人に契約能力がある者
    居宅生活者に限らない(福祉施設入居者、病院入院者との契約も可能)

  2. サービスの内容
(1) 福祉サービスの利用援助
  福祉サービスについての情報提供・助言・利用手続き
住宅改造、住居家屋の賃貸、日常生活上の消費契約、住民票の届け出等行政手続き援助など、福祉サービスの適切な利用のために必要な一連の援助
(2) 日常的な金銭管理
  年金や福祉手当の受領に必要な手続き
福祉サービス利用料、医療費、税金、社会保険料、公共料金等の支払手続き
預貯金の出し入れや解約の手続き
(3) 書類等の預かり
  預貯金通帳
証書(年金証書、権利書、契約書、保険証等)
実印、銀行印等
 
通常の預かりサービス−普通預金通帳や印鑑−社協の金庫
保管サービス−定期預金通帳、証書等の重要書類−銀行の貸し金庫
  1. 利用料

    措置でなく契約に基づく利用事業であるため利用料を徴収(権利保護の一環)
    愛媛県 1時間1,000円(以後30分まで500円)
    生活保護費受給中は徴収しない(公費から支払われる)

  2. 相談から援助までの流れ

    【相談】
    サービスを希望する者(代理も可)は、基幹的社会福祉協議会または、福祉サービス利用支援センターに相談する。
    松山地方局管内の基幹的社会福祉協議会は「松山市社会福祉協議会」(松山市若草町8番地2)である。

    【訪問】
    事業の専門家が本人を訪問・面接して話を聞く。

    【支援計画の策定】
    サービスの利用意思を確認し、支援するサービスの計画を立てる。

    【契約】
    本人と社会福祉協議会が契約を結ぶ。

    【援助】
    生活支援員が支援計画(契約書)に基づいて支援する。

  3. 愛媛県の利用状況

     愛媛県では、県社会福祉協議会が5ヶ所の基幹社会福祉協議会に業務を委託している。5人の専門員と105人の生活支援員がいる。2004年3月の事業契約件数は379件で、実利用者は267人、1人の専門員が抱える実利用者は53人、全国で3番目に多いという。
      松山管内の平成16年8月15日現在の契約件数は400件、実利用者は280人である。現在の専門員、生活支援員のスタッフから考えると、本事業の拡大は望めない。

  4. 今後の課題

     予想されるわが国における今後の高齢者の増加に対して、利用対象やグレーゾーンへの支援対象の拡大が必要であり、専門員、生活支援員の確保と市町村、市町村福祉協議会の積極的な協力が急がれる。
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