長寿と生活習慣

医療法人ビハーラ 藤原胃腸科 藤原壽則

  長生きしたい、永遠に生き続けたいという人類の願いは古今東西不変のものである。中国では、その長い歴史の中で常に不老長寿の秘薬を求め続け、健康法を模索してきた。わが国においても、古くは「竹取物語」でも、かぐや姫が竹取翁へ残した不老不死の薬が登場している。

  しのび寄る老化に対処し、長寿を勝ち取るためには、成人病の予防や治療の知識のみでなく、長寿のための正しい知識と適切な食生活を身につけ、毎日の生活の場で着実に実践してゆくことが必要である。

  南米エクアドルのビルカバンバ、ヒマラヤのフンザ、ロシアのコーカサスが世界の三大長寿地域と言われ、世界の人々から注目され、賞賛されてきた。これらの地方には100歳以上の人が、人口10万人あたり数十人から数百人という率でいると言われてきた。しかし、これを調査するためビルカバンバに入ったアメリカの研究者グループによると、何万人もいると言われた100歳以上の人は1人もいなかったと報告されている。また、現在他の2つの地域についても長寿ではないことがわかっている。これらの地域では戸籍がしっかりしていなかったり、兵役を免れる目的で年齢を高く偽ったり、さらには長寿村として宣伝するために、年齢を高く言っていた例が多かったのである。

 日本でもかつて長寿村と言われた地域があった。しかし、これは70歳を超える人の全人口に対する割合が多い地域を長寿村と言っていたものである。これでは若い人たちが都会に働きに行った過疎の村がみんな長寿村ということになる。長寿地域の伝説は話としては面白いが、問題となるのはこのような地域の人々の食生活を真似て粗食がよいとか、山菜ばかり食べるのがよいなどという話が広く伝わったことである。

  現在わが国は、名実ともに世界第一の長寿国となっている。戦後乳児の死亡率が減り、若者の結核による死亡が減って、平均寿命が大幅に延びたのである。そして長寿国となった因子として考えられることは、先ず第一に、生活が豊かになり栄養状態がよくなったことである。戦後の経済成長と共に、食卓には主食である米飯に代わり副食の摂取量が増え、特に動物性たんぱく質の摂取量が増大したことである。しかも欧米のように肉や糖質の取りすぎによるエネルギー過剰になることなく、明治時代以来の1日2000calを維持し続けているのである。さらに、1日に摂るたんぱく質や脂肪に占める動物性と植物性の割合が、ほぼ1:1と理想的になっているのも日本だけにみられる特徴である。野菜、きのこ、海草類なども日本人は多く摂っている。

  第二には、健康診断が誰でも安く、あるいは無料で受けられることである。そして、医療保険が完備して気軽に医師にかかれることである。
  以下、長生きの条件、12ヶ条をご紹介したい。
第1条 血液中のアルブミンが多いこと。
ラテン語の卵の白身に由来するアルブミンは、栄養分となるだけでなく、組織の水分を血管内に引き込んで浮腫を防ぐ働きもしている。
第2条 血色素が多い。
血色素(ヘモグロビン)は、赤血球の中にあって酸素と結びつき全身の組織に酸素を運ぶ働きをしている。
第3条 太り方は中くらい。
痩せている老人は、肺炎などの感染症で死亡することが多く、死亡率は、標準的なお年寄りの2倍も高くなる。
第4条 握力が強い。
握力など、筋肉の強さが年をとっても衰えない人のほうが長寿を保てると言われている。
第5条 短期間の記憶が高いこと。
記憶には、新しい情報を頭に刻み付けること(記銘力)と、その記憶を保っておくこと(保持)、そして必要なときに思い出すこと(想起)の3つの要素がある。短期間の記憶は、このうちの記銘力に相当するもので、数秒前から1〜2分前のことを覚えておく能力のことを言う。
第6条 スポーツの習慣を持つ。
運動するお年寄りは、しない人に比べて、死亡率が約1/2と低くなっている、スポーツは長寿の値を高める手段ともなる。70歳の時点でスポーツの習慣のある人は、80歳になっても自立している。つまり、日常生活の中で手助けの必要のない人が多い。
第7条 煙草をすわないこと。
喫煙は、心筋梗塞など血管系疾患、脳卒中、さらに癌の原因となり、現在、医師会を中心に禁煙キャンペーンが繰り広げられている。
第8条 お酒は少々。
お酒は、少量ならば、心筋梗塞などを防いで寿命を延ばす効果が期待できると言われている。動脈硬化を予防し、また血液を固まりやすくする物質が作られるのを防ぐ。さらにストレスがきっかけとなって起こる心臓発作をも予防すると言われている。
長寿に有効なアルコールの量としては、体重60kgの男性で、1日ビール1本、日本酒1合、ウイスキーシングル2杯までとされている。
第9条 社会活動性が高い。
社会活動に積極的に関わることである。70歳で職業、家庭内の役割、社会参加といった社会的活動の高い人ほど、80歳や85歳での自立度が高いことが分かっている。
第10条 牛乳を飲む。
牛乳を飲むことと長寿とは強い関連が見られるが、これは牛乳がバランスの優れた大変栄養価の高い食品であることを示している。
第11条 脂肪を使った料理を適度に食べる。

炒め物など、植物油、バターなどを使った料理を適度に食べることである。

第12条 コレステロール値は、200mg/dl前後。
70歳の老人の集団を追跡調査してみると、男性で206以上、女性で230以上とコレステロール値の高いグループの方が10年後の死亡率が低くなっている。総コレステロール値は、199〜230mg/dlぐらいの人が長生きをしているといえるようである。
コレステロールは、あまり値が高いと心筋梗塞の危険が高くなるが、逆に低すぎると肺炎などの感染症や脳卒中、癌などに罹患しやすくなる。
 以上、長生きのための12ヶ条を紹介した。日常生活の中でこれらの条件を実践して、長くてQOL(生活の質)の高い人生を送りたいものである。

<参考・引用資料> 東京都老人総合研究所・柴田博:「長寿のための生活習慣」

ポコアポコさんと一緒に楽しく

グループホームルンビニー グループホームアショカ 施設長 相原あや子

  音楽療法活動をボランティアでされているポコアポコのお2人が、ルンビニーに月1回来てくださるようになり、かれこれ2年がくるでしょうか。彼女たちのことを覚えていて迎えられる入居者の方もいれば、記憶にとどまらなく、毎回が初対面の方もいらっしゃいます。

  でも、みんな輪になってピアノの曲が流れてくると、記憶のどこかに「何かこの雰囲気感じたことがある」となんとなく蘇るのでしょうね、2年前の頃とは全く違ってすぐに場が盛り上がってくるのです。歌はもちろんのこと、手足を動かしてリズムをとったり、鳴子や鈴での大演奏と楽しく時を過ごします。上手に進行してくださるKさんの声や雰囲気も、なじみとなって記憶のどこかに刷り込まれているのでしょう。楽しく過ごした1時間の終わりには、心休まる静かな曲で締めてくださり、またの再開を約束して今日も終わりました。

  ポコアポコのお二人に、ルンビニーの私達と過ごしていただくひと時について語っていただきました。
 ガラガラ・・・と門を開けると、温かい陽射しを浴びて、2階建ての茶色い建物が私達を迎えてくれます。「今日も皆さん元気にしていらっしゃるかしら」と楽しみに訪問させてもらっています。

  「いらっしゃい」、「こんにちは」とみなさんの笑顔に迎えてもらって、嬉しいひと時です。

  昔の歌を歌いながら、皆さんから出てくるお話も私たちにはとても新鮮で、勉強になっています。なによりもそうしてお話がはずむことで、皆さんがとても楽しそうにされていることが嬉しいのです。
  音楽が場を和ませてくれたり、心やからだを元気づけてくれたり、表情を明るくさせてくれたり・・・のきっかけになってくれたら、これほど幸せなことはありません。
  私たちはここでほっとするやすらぎももらっています。音楽に合わせて手をマッサージする時、高齢の方の手のひらは思ったより薄く、しわが深く、その分だけの人生を歩んでこられたんだと、その懐の深さをしみじみと感じたことがあるのですが、いくつもの山を越えてこられた方の笑顔やお話は、私たちにやすらぎと活力を与えてくれます。
  また、スタッフの方が、ゆったりと優しく接しておられる姿も、おだやかな気持ちにさせてくれます。

  また皆さんと一緒に歌ったり、リズムをうったりするのを楽しみに、来月も越させてもらえたら〜と思っています。
久保知子  土居恭子
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