看護学生の実習レポートから・・・T

グループホーム ルンビニー アショカ 施設長 相原 あや子

 ルンビニーでは実習施設として、平成15年度からM看護専門学校の学生実習を受け入れています。これは老年看護実習の一部として位置づけされ、学生は介護老人保健施設や介護老人福祉施設の実習を終えルンビニーに来ます。実習目標は下記の2つです。

  1. グループホームの機能と役割を知る。
  2. グループホームにおける職種間の連携を知り、看護者の役割について考えることができる。

  今回と次回に、学生が提出したレポートからの文章を掲載させていただき、学生の視点からのルンビニーを紹介したいと思います。

グループホーム(ルンビニー)での実習を終えてのレポート

M看護専門学校 S.M

(1)グループホームの機能と役割を知る
  まず「ホーム」とあるように、そこは1人1人にとっての「家」であるということを強く感じました。病棟ではあたりまえのように人目につく場所に汚物処理施設があります。それを職員側も利用者側も特別変に思いません。しかし、オリエンテーションの中で、「これは家にないものでしょう?だから本当はつい立てで隠すなりの工夫が必要なんですけどね・・・」とグループホームの職員の方は初めて訪れる学生に対し説明しました。その言葉からここは事実上施設であり、今まで生活してきた家ではありません。でも入所者の人々にとって今の家という役割を担っていこうとしていることが分かりました。注意深く見てみると、廊下には金魚の水槽、やわらかい色のソファ、アルバムの入った本棚、ぬいぐるみ、キッチン、そしてその中には冷蔵庫、食器棚があり、どれも家にあるもので病院にあると不自然に感じやすいと思われるものばかりでした。そして病院には普通にある部屋の号室、ナースステーションという札、床頭台、ストレッチャー、ワゴンなどは当然ありませんでした。

  次に、1人1人の「今の家」を担っているということで、1人1人の生活、習慣に干渉しすぎない、1人1人を大切に想うという役割を担っていると思いました。あるおじいさんは、ずっと30分以上ソファに掛けてひげをそっています。病院、施設においては、「もうひげはそれてますよ。止めましょう。」と止めることを促してしまいそうなものであるが、グループホームルンビニーは、それを特別やめさせることも、責めることもありませんでした。そこから、1人1人の自由、想い、ペースを尊重されており、人格、今の状況そのものを受け入れていることが分かりました。

  以上をまとめると、私が学んだグループホームの役割と機能については以下のようになると思いました。
  1. 1人1人の「今の家」であり、それ以上でもそれ以下でもない。
  2. 1人1人の状況、人格、すべてをありのままに受け止め、強制による精神的圧迫をとりのぞき、心のやすらぎ、身体のやすらぎを与える。
  3. その人がその人らしく残された人生を快適にすごす場と機会を提供している。
  4. 家で介護したくてもできなかった、やむを得ない理由のあった家族の意思を引き継ぎ、想いをなるべく近い形で実現させる場である。
(2)グループホームでの看護師の役割
  一言で言うと、「健康管理」ということになると思いました。しかし、何よりも他の施設との違いを感じさせられたのは服装から、家族の一員に近い存在であるということでした。ナースキャップもなければエプロンもしていない。ナースシューズではなく、スリッパをはいている。私達が家で過ごすことの多い格好、ジーンズにトレーナー、シャツ、Tシャツ、くつ下、スリッパという格好でした。このことから入所者に単に家の雰囲気を味わってもらおうというのではなく、家族の一員となっているのではないかと思いました。それは看護師だけではなく同施設に関わるすべての職員がそうであると思います。

  ただバイタルを測定するのではなく、その関わりから親密な者という、という安心感、やすらぎを同時に与えいるのではないかと思いました。

  次に感じたのが全体の「母親的」役割であるのではないかということです。それは他の職員の方の医療的な事の指導を行ったり、いろいろな判断を行っているということからそう感じました。

  また何よりも印象的だったのが、職員の人たちの入所者の家族に対する想いでした。反省会の中で、「ご家族の方々との信頼関係を築くのに、特に面会に来られた時は、いろいろお話をして日頃の様子などをお伝えし、ご家族の想いもお聴きするようつとめている」と言われたことから、入所者の方々とは別の意味で家族との関わりをとても大切にしているのだなと思いました。もちろん病棟でも他施設でも家族とは連携をはかりながら入所者の方に対してのケアを行っています。しかし、家族の本当の気持ちをはきだしてもらうよう、変な言い方をすると「わざわざ」積極的に関わってはいないと思います。しかしそこがやはりグループホームだということなんだと思います。最初に述べたように私は看護師は家族の一員を担おうとしているのではないかと述べました。そこから考えると、家族ということは、嫌なことがあってもお互いにそこから逃げ出すことはできません。お互いによい解決策はないかと本心をぶつけあいながら乗り越えようとします。だから、グループホームの看護師も家族の一員ということで入所者のとりまく家族を想っているのではないかと思いました。以上のことをまとめるとグループホームでの看護師の役割としては以下のように考えられると思いました。  
  1. 入所者への健康管理・医療的処置
  2. 他の職種の方々に対する医療的な事の指導
  3. 入所者の入浴などの判断
  4. 家族との連携
  5. 家族の一員となろうとすること。そこから安心、やすらぎを与える。
    (5は他の職種の方々についても言えると思います。)
(3)実習を行っての感想・反省
 今回の実習により、いろんな看護の姿を見せていただいたと思っています。
  憧れのまなざしで見られるのはしゃきしゃき働き回り、注射をしたり、与薬したりする看護師であることが多いと思います。しかし、看護を受ける方々にとって憧れのまなざしで見られるのはどのような看護師なのだろう、と思いました。どうしても看護師も人間なので、自分の価値観、自分特有の偏った感情を持ち、相手を見て、看護を仕事だとしてしまいます。

 本来、看護とは家の中に存在したもので、今も存在しているものだと思います。特別な処置、いろいろな状況、現状で家の中で看護、医療的処置をするのは限界となり、病院や様々な施設ができたのではないかと考えました。そう考えた時、看護師も1人の人間だということをもっと活かしていかないといけないんだと考えました。人間関係を築くとき、患者、入所者と対象が変わるだけで特別になるべきではないのかもしれません。そういうことを忘れず持っていなければならないんだと今回の実習で気付かされた様に思えます。

  どんなに頑張ってもその人にはなれません。どんなに頑張ってもその人の家族になることはできません。でも互いに想いあうこと、想うこと、互いの関係をより良いものにしようと一生懸命になること、相手のことを一生懸命想い大切にすることは他人だからといって不可能なわけではありません。結局自分次第だということだと思います。

  今回の実習は考えることのできる機会を与えて下さった大変よいものになったと思いました。
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