スウェーデン視察報告

デイサービスセンター ビハーラ 管理者 五藤 恵

  昨年11月6日、成田からデンマーク・コペンハーゲン経由でスウェーデンに入国しました。 フライト時間11時間30分、それからさらに3時間の列車の旅で、ホテルに着いたのは日本時間で早朝4時でした。時差ボケにならないようにと、とにかく眠らないようにする事に、参加者全員力を注いでいました(笑)。スウェーデンのグループホームと専門的認知症ケアを体験する目的で10日間、この視察に参加させていただきました。日本と大きく違う点について報告したいと思います。


  スウェーデンのスタッフは、全員医療行為のできる有資格者だということにまず驚きました。ケアスタッフは全て有資格者で、看護師と准看護師でした。日本の准看護師とは違い、日本の介護福祉士に近いそうですが、それともまた違い、医療知識と技術を学び、医療行為をしても構わないと認められた者が准看護師になれるというものでした。特別准看護師という資格もあり、グループホームだけではなく施設関係のスタッフは殆どがそうでした。また、何らかの理由で休暇をとるスタッフの代わりに勤務をする、緊急医療チームがあることにも驚きました。その緊急職員も看護師、准看護師です。


  グループホームは治療の現場ではなく、生活の場です。しかし、人の命をお預かりしていることに違いはありません。スウェーデンの体制はすばらしいと思いました。と同時に、日本の施設での体制も考え直す必要があると思いました。生活の場であっても医療と切り離すことはできません。必要なときに必要最小限の医療行為のできる新しい国家資格が検討されなければならないと考えます。


  もう1点、驚くことがありました。私たちはできる限り家庭的な雰囲気作りに力を入れ支援しています。食事作りには特に力を入れ、一緒に作ったものを一緒に配膳し一緒に食べていました。環境面では特別なことがない限り鍵はかけず、いつでも自由に出入りができるようにしています。スウェーデンはというと、全て鍵がかかっていました。食事も入居者と一緒に作るのではなく業者に委託していました。麺を茹でたり、盛り付けしたりということは行っていました。細かい作業が困難になってきたためだということでした。ルンビニーは開設5年目。2年前から入居者の介護度も高くなり、介護の占める割合が多くなってきました。それと同時に食事作りを一緒に行うことが困難になり始めたため、食事作りのスタッフを強化し、できる部分の支援に変えていきました。今、私たちが抱えている問題と同じであることに驚き、日本の認知症ケアがかなり前進しているという手ごたえを感じました。グループホームはこうでなければならないと考えるのではなく、生活されている方の状態に合わせてた支援、これがもっとも大切であることを強く感じました。鍵に関しても掛けてはいけないのではなく、入居者の安全を守る必要がある時には掛けてもよいのだという確信が持てました。


  最後に、日本のグループホームにはない、行動障害の方を中心としたグループホームを見学させていただいたので報告します。そこの入居者はセンサーをつけていました。どこに居るのかをセンサーで把握するシステムです。入居者は自由に歩き回ることができるようになっています。ステキな庭にも自由に出ることができます。歩行が不安定な方は転倒センサーをつけていました。これは転倒したことを知らせるものです。スタッフに、「転倒してからでは遅いのではないか?骨折すれば大変では?」と質問してみました。答えは「骨折しようが本人の思うように動いてもらったほうがいい。いつも人に付きまとわれると嫌でしょう。認知症だから骨折しないようにと考えるのはどうか」という答えでした。


  私たちのグループホームではセンサーの装着は考えていません。確かに付きまとわれるのは嫌ですが、骨折もさせたくないです。付きまとわないよう注意しながらの見守りを続けていきたいと思います。(スウェーデンは骨折しても手術の翌日からリハビリを行い、1週間以内で退院できますので、こういったことからも考え方が違うのでしょう。)


 今回の視察を通して、短い期間でこんなにも日本の認知症ケアがスウェーデンに近づいたことに喜びを感じました(医療面ではまだまだですが)。認知症ケアの質は良くなったとは言え、認知症に悩むご家族の認知症に対する知識はまだまだだと思います。私たちケアスタッフは、ご家族や地域にも正しい知識と対応の仕方を伝える事が必要であると思います。また、ご家族の悩みもしっかり受け止め、良き相談相手となることもとても大切であると思いました。”最期までその人らしく”を課題とし、日々努力したいと思います。


 視察の合間にちょっぴり観光した場所をご紹介して終わりにしたいと思います。
 
 
 
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