認知症デイサービスビハーラでの経験を通して

看護師 棚ア由紀子

 認知症デイサービスで看護師として勤務し始め、早いもので11ヶ月が過ぎようとしています。数年前には、介護の世界へ足を踏み入れるとは夢にも思っていなかった私でしたが、ビハーラでは本当に多くの事を学ばせて頂きました。

 こちらへ勤務するきっかけになったのは、2年前、スウェーデンでグループホームの創設者であるバルブロベック・フリース氏から直接、認知症高齢者ケアを学んだことでした。認知症に限らず、個人を尊重したケアの重要性は日本でも提唱されていましたが、スウェーデンでは更に、認知症ケアに携わる人々(本人、家族だけでなく地域住民を含めた)に対する教育およびケアシステムが機能しており、また、タクティール(皮膚を刺激する優しいマッサージ)というコミュニケーションツールが、認知症ケアの効果をあげていました。さらに、スウェーデンの認知症ケアでは、以下の4つの重要な鍵があると言われていました。どの鍵もスウェーデンに限らず、認知症ケアに共通している重要な概念でした。

 そしてその後、スウェーデンの現状にとても感銘を受けた私は、今ではすっかり認知症高齢者ケアの虜になってしまったのです。

  1.症状のコントロール
   2.チームワーク
   3.家族支援
   4.コミュニケーションと関係性

 認知症の症状は、これまで生きてきた人生や個性に違いがあるように、一人ひとり異なっており、何が原因で周辺症状が出現するのか見極めにくいために、次の反応が予想しにくいと言われています。そのため、デイにおいても多くのご家族が、在宅での認知症介護にご苦労されている現状がありました。

 常に不安と背中合わせの不安定な状況の中にいる認知症の高齢者は、人の手の温かさや、肌と肌とのふれあいによって不安が和らげられることが多く、側に寄り添い見守ることで落ち着きを取り戻します。実際デイで、スウェーデンで習ったタクティールを実施したところ、ほとんどのご利用者は気持ち良かったと笑顔で喜ばれ、険しい表情の方も穏やかな表情へと変わられました。中には、マッサージ後、すぐにコテっと眠られる方もいらっしゃいましたが・・・。

 私たちは、今後も、ご家族が認知症を病気として正しく理解していただけるようにサポートし、今後の経過を見極め、本人が何を望んでいるのかをいち早くキャッチすること。そして、やはり一番辛い立場にいるのは、認知症を患っている本人自身だという視点で、その人らしさを取り戻せるようなケアを提供していかなければならないと考えています。

 認知症ケアには、想像力がとても重要です。そのためには、感性を磨かなければなりません。そして、同時にタクティールなどの技術を習得することによって、より根拠のあるケアが提供できるように努力していきたいと思っております。

 正直、当初は手探り状態でした。皆さんの笑顔や連絡ノートなどの言葉に日々励まされながら、ここまで来ることができました。
  私たちとともに、ご本人さんを中心にしてともに歩いていきませんか?私は、これからも認知症高齢者ケアの奥深さに、はまり続けていくでしょう。

 これまで温かく見守り、ご指導いただきました皆様方に深く感謝いたします。
 本当にありがとうございました。

 

バックナンバー