かかりつけ医のもの忘れ外来診療

医療法人ビハーラ藤原胃腸科 藤原壽則 

 高齢化社会を迎え、認知症患者が増えています。現在わが国の認知症患者は190万人と言われ、介護認定を受けた人の2人に1人、85歳以上の人では4人に1人が認知症だと言われ、厚生労働白書では2025年には300万人を超えると推計されています。

 当診療所にも、ここ数年もの忘れなどの相談に来る患者さんや家族の人達がみられるようになり、昨年4月からもの忘れ外来のコーナーを作って認知症の診療を始めました。

当院のもの忘れ外来  
診療の流れ  
 問診  現病歴  
  既往歴  高血圧、糖尿病、頭部外傷、うつ病、使用中の薬剤など
  家族歴 認知症、パーキンソン病など
 初診時の診察   
  一般身体所見  
  神経学的所見   
  心理学的テスト  改訂長谷川式簡易知能評価スケール、MMSE
N式老年者用精神状態評価尺度(NMスケール)
  CDT (時計描画テスト、丸時計を書いていただき、注意、実行機能などを検査するテスト)
  検査  
  検尿  
  一般血液検査  
  血液生化学検査 肝・腎機能、電解質、甲状腺ホルモン、血糖、ビタミンB1、B12など
  画像診断 胸部X線撮影、頭部CT撮影など

かかりつけ医の認知症診療
−かかりつけ医に要求されること−

  1. 認知症の早期段階での発見・気づき(スクリーニング)
    認知症を治す薬はまだ発見されていませんが、病気の進行を遅らせ、症状を改善する薬や様々な治療法は開発されています。認知症の場合も他の病気と同じように早期発見、早期治療が大切です。
    診察では、ご本人、家族からもの忘れやその他の症状について詳しく聞きます。さらに簡単な心理学的テストにより、記憶、見当識、計算など簡単なテストを行い、認知症のスクリーニングをします。


  2. 治療可能な認知症を見逃さない
    認知症の原因になる疾患は数多く、中には治療できる認知症もあります。例えば脳腫瘍、慢性硬膜下血腫、正常圧性水頭症、代謝やビタミン、ホルモンなどの異常によって起こる認知症です。この様な治療可能な認知症を見逃さないために、血液検査や頭部の画像診断を行います。当院の認知症外来でも、慢性硬膜下血腫、正常圧水頭症など、治療可能な認知症を診断しています。


  3. 専門医療機関への受診誘導
    更に精密検診が必要な場合には、基幹病院の認知症の専門医に受診していただきます。当院では、愛媛大学病院などに精査を依頼しています。


  4. 患者・家族の支援
    家族の介護負担、不安に耳を傾け、患者とともに家族に対しての支援をしなければなりません。当院でも、認知症サポート医、認知症介護指導員、認知症状介護専門士などが認知症やその介護の相談に当たっています。


  5. 地域の、居宅介護支援事業所、認知症介護サービス事業所との連携
    認知症と診断された患者さんに対しては、医療とともに、地域の居宅介護支援事業所、介護サービス事業所と連携し、患者さんにとって最も有効な介護サービスの利用を計画します。認知症専門のデイサービスもいくつか開設されています。
以下、家族が最初に気づいた認知症高齢者の日常生活でみられる変化を記してみます。

  • 同じことを何回も言う
  • 財布を盗まれたと言う
  • だらしなくなった
  • いつも降りる駅なのに乗り過ごした
  • 夜中に急に起き出して騒いだ
  • 置き忘れやしまい忘れが目立つ
  • 計算の間違いが多くなった
  • 物の名前が出てこなくなった
  • ささやかなことで怒りっぽくなった
このような変化があればできるだけ早くかかりつけ医に相談してください。

 

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