永遠の美人よ、さようなら

グループホームルンビニー 介護職員 加藤 健次 

 開設以来7年が過ぎましたが、ここルンビニーでは13名の方の看取りをさせていただきました。
 出会いがあれば必ず別れがあります。 2月4日、Kさんは2年5ヶ月足らずでルンビニーでの生活を終え、お別れいたしました。

 平成18年9月26日、息子さんご夫婦と一緒にルンビニーに入居され、第二の生活が始まりました。脳梗塞のため、左麻痺でしたが、会話はでき、一部介助を除きほとんど自立されていました。だんだんと生活に慣れてきた頃、ご自分の我が出てきたように思いました。食べ物の好き嫌いがはっきりしていて、嫌いな物は一旦口に入れても吐き出してしまい、介助しているスタッフを悩ませていました。また、若いスタッフに対しては、「あなたは嫌いよ」となぜか厳しい言葉が出たりしていました。
 そんな中で一番印象に残っているのは、お化粧美人であったという事です。
 女性スタッフがKさんにお化粧をし、鏡でできばえを見てもらうと”満更でもないわね”という仕草をされ、それがなんとも私の目には微笑ましく映りました。Kさんは病気らしい病気もなく全く寝込まれる事もありませんでしたが、平成20年12月11日夜、突然意識障害が出現し、県病院へ搬送され入院し、脳梗塞と診断されました。高齢であり、意識レベル回復の見込みや治療方法がないと伝えられたご家族は延命治療は望まれず、ルンビニーでこのまま自然な形で看取って欲しいとの要望があり、12月15日再びルンビニーに戻ってこられました。

 ここから終末期ケアが始まりました。
 私たちスタッフの出来る事は限られています。居室をスタッフらがよく見守れる様に変え、訪問時は優しい声かけや手を握ったりして温もりを伝えました。声かけに目で追う事や顔を向ける事もありました。以前のようにお化粧(眉だけ)もほぼ毎日行いました。やはり、いつまでも美しさを保ってほしかったのです。日々のケアの中でKさんが一番嫌がったのは吸引だったのではないでしょうか。頻回の吸引の中で粘張痰が多量に引けましたが、その都度「あーあー」と悲痛にも似たあえぎ声が出ていました。しかし、吸引は生命維持のため、不可避な行為であり、そのまま放っておく事は出来ませんでした。

 そして、2月4日明け方や日中に今も私の耳に残る苦悶に満ちた声が出たり、喉がブクブクと鳴ったり異常な変化がみられました。最期は無呼吸のまま23時17分、息子さんご夫婦、スタッフに見守られ、静かに息を引き取られました。いつもの様にスタッフにより入浴そして薄化粧をされ、翌朝ルンビニーを旅立ちました。告別式でお棺の中のKさんのお顔を見た参列者の方々から「まぁ綺麗なお顔」と言われ、さぞかしKさんも喜ばれたのではないでしょうか。

 本当にKさんありがとうございます。ルンビニーで共に過ごせた事に感謝します。

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