すべての他者に愛情を ダマイ・ラマ講演会より

医療法人ビハーラ藤原胃腸科 藤原 壽則 

 四国地区仏教会連合の招きで来県しているチベット仏教の最高指導者ダライ・ラマ14世は11月3日、松山市市坪西町の県武道館で「自分を幸せにする生き方」と題して講演した。

 会場を埋め尽くした約6000人の聴衆に「21世紀を生きる社会の一員として、自分一人では生きていけないことを理解した上で、すべての他者に愛情を持たなければならない」と訴え掛けた。

 幸せには物質的なものと精神的なものがあるが、精神的な幸せの方がより大切であると説く。今、物質的な幸せを満たしていても、暴力、麻薬、うつ病などの蔓延する現状があり、精神苦を抱える若者が増えている。中国では経済的発展により肉体的な苦しみは少なくなったが心の中では、何かが欠けている。20世紀には原爆などにより何百万人の命が失われた。物質的な向上を図れば、心の苦しみを取り除くことができると考えるのは間違いであり、心により肉体的な苦しみを乗り越えることができる。肉体的苦しみを精神的な充実で乗り切ることはできるが、その逆はできないと協調した。昨年、自ら強い炎症を伴う大きな胆石で3時間もかかる手術を受けたが、術後の回復も早く、免疫力も高いと言われた。普段からリラックスを心掛けているためだと考えている。

 21世紀には経済、環境保護といったさまざまな問題が全人類共通の課題となっている。

 現代社会の風潮について、今の私たちに欠けているのは他者を思いやる気持ちや利他の思い、偏見なくものごとをとらえる視点である。今、世界を全体として捉え、60億の人間すべての人々に対する愛情、思いやりを持つことが必要である、宗教や民族の違いばかりを強調すると、争いや戦争になる、と指摘。同じ人間として互いを尊敬する心を持てば、そのようなことはなくしていける。自分だけの狭い視野で物事を考えるのではなく、普遍的な責任感と包括的なものの見方が必要である。愛情の欠けた人間同士の集まりでは、物質的に豊かで幸せな家庭は築けない。愛は人生を幸せに生きるためのキーだ。他者に対する愛と思いやりで満たされているとき、心の平和を築くことができるのである。

 心の平和のためには愛情、自分のみでなく、全ての命あるものに対する愛、慈悲のこころが必要であることを教育の場で教えなければならない。

 講演の後の質疑応答でも、質問する一人ひとりに、わかりやすい言葉で、丁寧に答えていた。全体的に話し方など観客への心配りをした、わかりやすい内容の講演会であった。

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