Kさん、ありがとう

グループホーム ルンビニー 介護職員 岡本将宗

 私とKさんとの出会いは昨年の3月でした。ビハーラからルンビニーに異動になったことがきっかけでKさんと出会い、そして担当させてもらうことになりました。

 出会った時にはKさんは一日のほとんどをベッドの上で過ごしていることが多く、居室で過ごされていました。その為か、スタッフが居室の前を通ると、手を上げたり、「ちょっと」と声をかけたりされ、居室に入ると嬉しそうな表情をしていたのを今でも覚えています。私の手を捕まえては、「チュ」っとキスをしてくれたこともありましたね。

 季節の行事では外に出る機会もあり、お花見、ビハーラ盆踊り大会、ルンビニー花火大会、秋祭り、お餅つきなど、一緒に参加され楽しい思い出がいっぱいあります。お花見では、車椅子に乗り近くの河原まで行き、桜を見ましたね。あの時は、お花見を予定していた日が雨になり2、3回中止になって結局近くの河原に急遽行くことになって車椅子での移動が長くなってしまいましたね。道も悪くデコボコ道でお尻が何度もずれていたのを直したことをおぼえています。盆踊り大会では浴衣を着て参加され、右手一本で上手に踊り、打ち上げ花火より輝いていたように思います。秋祭りには玄関にお神輿が来るということで、準備して待っていましたがお神輿がなかなか来ず、結局1時間ほど皆さんと待ちぼうけでしたね。あの時は待った分、お神輿が来た時の嬉しさは格別でしたね。とても重たそうにしていたのを覚えています。

 そんなKさんも日が経つにつれて、体にむくみや浮腫がみられるようになってきました。状態が変化するごとにご家族、Dr、スタッフと話をして今後の方針を決め、取り組んでいましたが少しずつ体力が落ち、言葉を発することが少なくなってきました。ですが、口からの水分&栄養補給は摂取できている状態でした。

 3月13日、深夜、Kさんは亡くなられました。前日の夕食にも口から栄養を摂っていつもと変わらない様子でしたが、Kさんは眠るように亡くなられ、その表情は安らかな顔でとても穏やかでした。今回、Kさんと関わらせていただき、特に感じたことはご家族との繋がりです。近くに住まれているご家族はもちろんですが、遠くに住まれているご家族に対しての働きかけも重要だということです。遠くに住まれている場合、頻繁には会いにくることが出来ないことが多いです。その場合スタッフがご家族に対して出来ることは電話をかけることで繋がりを感じてもらうことが出来るということです。少しでも声を聞くことで「ホッ」と安心することにもなりKさん自身も嬉しかったと思います。ご家族と繋がっている受話器に耳を当てている表情を見ていたらそんな気がしました。

 私たち介護者は終末期を迎えられた方に接する機会も多いと思います。2Fでも重度の方が多く高齢になればなるほど明日がどうなるかわかりません。そのような状況の中で介護をしているのですから、一日一日を大切にして一瞬一瞬を感じてもらい、楽しい思い出を温めながら楽しかったと感じてもらえるように支援していきたいと思います。

 最後にKさん、手にキスをしてくれてありがとう。今度は天国で旦那さんにしてあげてくださいね。

 
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