「今から起きるキセキ」を聴いて

デイサービスセンター利用者 M.S

 それは、私にとって大きいキセキでした。まず、ヒップホップ調の歌は判らないものだとの思い込みが強かったのですが歌詞カードに助けられ繰り返し聴いたところ、歌の流れも良く訴えたい内容もたいへん良く伝わってきたのです。今では毎日のように聴いています。私たちのような高齢者が聴いてもいいなあと思えるのですから若い人達にはきっと広がるのではないでしょうか。

 『認知症の人たちの思いを音楽にして届けよう、いつでも口ずさめ、心に残る』(愛媛一一・二五より)ような家族や介護スタッフへの応援ソングを追い求めていた五藤さんの強い願いが多くの人達を動かし夏目ひみかさんがヒップホップユニット2BACKKA(ツーバッカ)のHAMMERさんとの初のコラボ曲として誕生したものだそうです。このコラボが”大きいキセキ”を起こすことを願ってやみません。

2011年10月7日


第12回全国紙芝居まつり松山大会に参加して

医療法人ビハーラ藤原胃腸科
介護部門施設長 相原あや子

 8月6日、7日と2日間にわたって開催されました。サブタイトルは〜で愛 ふれ愛 えんじ愛〜です。全国紙芝居まつりには、日本各地から、また外国からも、紙芝居に魅せられ、さまざまに活動している人たちが集い、語り合い、学びあい、交流します。2年に1回全国各地で開催され、今年は松山での開催となりました。

 ここで、知っているようで知らない紙芝居の歴史を、少し述べてみます。
 紙芝居は、1930年に東京の下町に誕生したといわれています。手描きの紙芝居と舞台、駄菓子を自転車に積み、街角をまわって駄菓子を売りながら子どもたちに紙芝居を見せる商売でした。娯楽の少ない時代でもあり、わずかな小遣いで楽しめる街頭紙芝居は、子どもたちに大人気となりました。しかし、街頭紙芝居はあくまでも大衆娯楽で、現在の出版紙芝居のように作家が子どもたちに大切なことを伝えたいと考えて作られた作品とはいいがたく、子どもたちの豊かな成長を願う思いが込められた作品ではありませんでした。

 そのうち、第二次世界大戦が勃発し、紙芝居の世界も一変しました。戦争賛美、戦勝協力の紙芝居、いわゆる国策紙芝居ばかりが作られるようになっていきました。

 1945年敗戦。戦後の混乱の中で失業者があふれ、簡単に日銭が稼げる街頭紙芝居が復活しました。しかし、テレビの普及の影響もあり、1960年頃には街頭紙芝居は衰退していきました。

 一方、戦後の民主的な文化運動の高まりの中で、質の高い紙芝居を目指して、研究や出版が活発に行われるようになりました。1960年から公共図書館の紙芝居貸し出しが始まり、貸出率は、図書を上回るほどで、現在では紙芝居を置いていない図書館はないくらいに普及しています。

 1979年「紙芝居を演じる会・ひょうしぎ」発足。現在の「全国紙芝居まつり」開催の母体が活動を開始しました。そして、1990年頃から、ベトナム、アメリカ、ラオス、中国など、紙芝居の魅力に注目する人たちが増え、世界へも広がりを見せています。

 

 さて、私は松山大会の中の第3分科会「福祉編」に参加しました。福祉紙芝居はここ3〜4年注目されてきたという、紙芝居の世界では極歴史の浅い分野です。認知症予防やサポート、そして今後ますます増加する高齢者のコミュニケーションツールとなることなどを目的としています。
 分科会では先ず3つの事例報告がありました。

*視覚障がい者と紙芝居
「目の見えない人に紙芝居???」と報告を聴くまではまさしく私の頭の中は?でした。報告されたのは、松山大会の実行委員長 佐伯美与子さんです。佐伯さんは160人の視覚障がいの人たちに「正岡子規」の紙芝居を演じたその体験を話されました。視覚障がいの人は、絵を想像することはできません。そこで、佐伯さんは話の中に絵の説明を組み込みながら進めていかれたそうです。演じる前は「紙芝居は自分たちとは縁が遠い」と言われていた視覚障がいの人たちが、紙芝居が終わると、「世界が変わった!」と感動、感動の言葉だったそうです。一部を演じてくださった佐伯さんの真心が伝わったんだと、納得。私も感動をいただきました。

*高齢者を守る紙芝居
「ちょっと待って、大丈夫?」
このタイトルの紙芝居は、松山市消費者よつばグループの方達の作品です。振り込めサギや、高額な商品を不当に買わされそうになった高齢者の例をいくつか取り上げ、あなたは大丈夫ですか?と投げかけています。紙芝居の絵と、演じ手の絶妙な演技で、この紙芝居を観た高齢者は大丈夫!と実感しました。

*認知症サポート医が作った紙芝居とその活用
当法人理事長の藤原壽則が、認知症高齢者を主役にした「ぼくのおばあちゃん」という紙芝居を作成しました。理事長は、長年外来診療を通して、又、グループホームやデイサービスで認知症高齢者やその家族と向き合う日々、社会の認知症理解がまだまだであるな、と実感しました。そこで、佐伯美与子さんや絵を描いてくださった大野美保さんの協力のもと、この紙芝居が生まれました。
現在、理事長が行う認知症の講演の前に「ぼくのおばあちゃん」を演じたり、又、ホームページを通じて全国から購入の依頼がきています。

以上、3事例報告の後、活発な意見交換が行われました。紙芝居の分野では著名な遠山昭雄さん、ときわひろみさん、ピーマン三本さんなどが、演じ方の工夫や気をつけていることなどをトークを交えながら、自作の紙芝居を演じてもくださいました。さすがと、脱帽です。会の最後は、松山市在住の95歳丸碆達さんの民話「たのきゅう」の紙芝居です。お歳を聴いて驚き、矍鑠としたお姿に驚き、演じられるお声に驚き、会場全体95歳のパワーで漲りました。丸碆達さんは現在もボランティア活動をされているとのことで、私どもの事業所にも来ていただき、ご利用者の皆さんと丸碆達さんパワーをぜひ共有したいと想っています。

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