眷三さん、ありがとう

グループホームアショカ 看護職員 荒木 紀子

 高市眷三さんは、昨年の10月27日に100歳のお誕生日を迎えられました。横になったり起きたりの生活でしたが、お変わりなく日々を過ごされていました。しっかり食事も食べられ、大好きな入浴の時は、顔や胸のあたりをご自分で洗われたりしていました。春の1日には、中庭でたくさんのご婦人方(入居者様)に囲まれ、「えー!100歳なんですかー。お元気ですね。」と言われ、まんざらでもないという表情をされることもありました。

 だんだんと夏も盛りに近づいて来た頃、眷三さんは、日中も目を閉じている時間が多くなってきました。以前は食後、おしゃべりをしてくれる日が多かったのに・・・。長く長く頑張ってこられた体は、「休みたい。」と言い始めているようでした。昨年の秋に肺炎をやっつけたように、もう一度お元気な笑顔を見たい、スタッフ全員そう思い、ケアさせて頂く日々になりました。「眷三さん、眷三さん」とスタッフの声かけは毎日続きますが、「はい。」と元気な声を聞く事は難しくなってきました。

 もうすぐ秋だというのに暑い日は続いていました。眷三さんの体力は少しづつ低下していきました。

 ご家族も、その日はずっと傍に居られ、見守って下さいました。そして、いよいよお別れの日が来てしまいました。「やっと楽になれましたね。苦しかったでしょう。」と思う気持ちも正直ありましたが、もうあのおどけたお顔を見ることはできないと思うと、やはり寂しさでいっぱいになりました。

 眷三さんは、とても100歳とは思えない若々しいお顔で眠っておられました。今、眷三さんは風になり、懐かしい方々に会いに行っているのかな、と思っています。

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