アショカと両親の思い出

高市 由美子

 今でもアショカの玄関を入ると、椅子に腰掛けた亡き母の丸い背中が現れ、廊下の奥からは9月に旅立った父の咳払いや笑い声が聞こえてくるような気がします。

 母は93歳までの4年間、父は101歳目前までの7年間余りをお世話になりました。藤原先生や職員の皆さまに大切にしていただき、両親共最期までアショカで天寿を全う出来ましたこと、有り難く感謝しております。

 父と母は、一人っ子の私が結婚後大阪に住むようになってからも、故郷の松山で仲良く静かに暮らしていました。ところが、93歳でアショカへ入所した父にうれしい変化が起きたのです。『穏やかな愛妻家』だった父は『お茶目なじいちゃん』に大変身!スタッフの皆さんをお相手にユーモアたっぷり、表情豊か、大きな声で朗らかにお喋りするようになりました。母もつられてニコニコしています。私は驚いたり安心したり・・・。お陰様で楽しく賑やかな晩年を過ごさせていただきました。2人のとびっきりの笑顔を忘れられません。

 この7年の間に、大阪から帰ってはアショカへ300回以上お邪魔しました。市内の実家から片道1時間近くかけて通ったことも、今は懐かしい思い出です。私にとってもアショカは、両親や皆さんに会える安らぎの場所でした。素敵なスタッフとの出会いもたくさんありました。皆さんの明るい笑顔や心温まる会話、折々の父母の様子などが次々に浮かんで来ます。22年秋には、父の満100歳を祝う会も開いていただきました。

 アショカでの色々な思い出は、私の心の支えであり、宝物だと思っています。あの歌のように両親は風になって、きっと大好きだったアショカの上も吹き渡っていることでしょう。

 長い間、有難うございました。心より御礼を申し上げます。

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