ルンビニーでの生活を振り返って

アショカ ユニット長 橋本 和幸

 私はこの度、グループホームルンビニーからグループホームアショカ勤務となりました。ルンビニーでは1階での勤務で介護度の低い入居者さんが多いユニットでした。4年前、グループホームアショカからルンビニーに異動となり、はじめは自分の仕事(業務)に追われてその日1日が終わるのが精いっぱいの毎日でした。

 少しずつ仕事にも慣れてきて、自分に余裕が出来てきた時に、自分がルンビニーで研修していた時を思い出しました。
 1日目は何も分からないため、ただソファーに座っていました。自分が仕事をしていた時には感じませんでしたが、スタッフはバタバタと動き、「忙しそうだな〜」と漠然と思い、「自分にも出来るのかな〜」と不安になったのを覚えています。そしてもう1つ感じたのが「座っているだけだと暇だな〜」という事でした。しかし、この何もしなくて「暇」という事は、自分だけが感じている事ではなく、もしかしたら、入居者さんも感じているのではないかと考えました。

 その頃は入居者さんが何かしたいと思ったり、入居者さんから「どこかに行きたい」と希望があっても日中に入浴をしていたため、時間と人手がなく「車が今は無いんよ」などと伝えていました。「時間がない」という事を自分自身が言い訳にしていました。そのような生活に迷っている時に、管理者に言われた言葉が「1日24時間は変わらないのだから、時間がないじゃなく、時間は作るしかないんよ」との言葉でした。

 それからはもう一度業務を見直し、その人が本当に昼でした入浴ができないのか?夜に入浴できないのか?いろいろと試しながら、試行錯誤していきました。入居者さんの入れ替わりもありながら、夜入浴という体制をとる事が出来、「どこかへ行きたい」と希望があれば「車がない」という言い訳をすることなく、「じゃあ行こうや」と行けるようになりました。この時間を作った事により、「帰りたい」と1日中訴えのあった方も、みんなと外に遊びに出たり、おいしい物を食べに行ったりする事でその間は全く「帰りたい」という訴えはありませんでした。
  その頃、少し大型の車を運転できるのは私だけでしたので、車での外出は主に私の役割、近くの散歩等は他スタッフの役割となりました。

 ルンビニーでは廊下にスタッフの顔と名前の入った写真があるのですが、ある方は、時々その写真を見に来ました。何をしているのか不思議には思っていたのですが、少しした時に「そこ見て何しよるん?」と聞くと、「兄さんにはいろいろ連れて行ってもらうけん、名前覚えよるんよ」との事でした。実際にスタッフの名前をしっかりと覚えていました。またある方は、外出して帰ってから「どこ行っとったん?」と聞くと「あれ〜どこやったかな〜」とすぐ忘れてしまう方も、名前を聴くと「あんたの名前は覚えとらい!○○さんやろ〜」と覚えています。

 グループホームでの支援をしていく中で、まず必要になってくるのがコミュニケーションをとり、信頼関係を作っていく事だと思います。知らない人にトイレに入られたり、お風呂に入ってきたり、服を脱がされたりすれば、誰でも嫌がると思います。しかし、一緒に外に遊びに行ったり、希望するところに連れて行ってくれたりする人ではどうでしょうか?自分にとって「快」と思える人に対しては「この人だったら大丈夫かな〜」「この人に言ったら聞いてくれるだろうな〜」という感情の積み重ねで「この人なら任せられる!!」と思うようになり、初めて信頼関係が築け、トイレで困っている時に「助けてや」と声をかけてくれたりするのだと思います。

 この仕事をしていく中で、困った時はまず「自分だったらどうしたいか?どうされたいか?」と考えるようにしています。自分がグループホームに入居すると、好きな時に外へも出られない、トイレに行っても知らない人が覗いている、「いい所いこや」と誘われて行ったら急に「お風呂やけん」と服を脱がされる・・・そんな所だと、すぐに逃げ出すと思います。たとえ認知症だとしても、自分がされて嫌な事は、同じように嫌と思っているはずです。

 自分なら、ストレスが溜まると買い物をしたり、遊びにいったり、愚痴を言ったりする事が出来ますが、入居されている方は自分だけではどうする事も出来ません。その方々に対してスタッフが出来る事は、外出支援もストレス発散のためのサポート役ではないでしょうか?また、愚痴を言うためにも愚痴を言える(聞いてもらえる関係作りではないでしょうか?

 ルンビニーでは、合言葉がありましgた。ある方は「天気がいいね〜」と伝えると「どこか行きますか?(笑)」と返ってきて、またある方は「寝むそうやけん寝とく?」と聞くと「私置いてどっか行くんやろ?付いていくで〜(笑)」と返ってきます。この言葉も、その方々の楽しみである外出を継続して続ける事により引き出されていったと思います。

 入居者さんからの「何かしたい」という訴えを「わがまま」と取るか「希望」と取るかはスタッフの気持ちひとつです。この訴えを「希望」と取る事で支援の幅も拡がり、本人も満足した生活が出来るようになり、1日1日が充実した生活になってくるのではないでしょうか?

 最後にもう1つ管理者さんから言われた言葉があります。
 「自分たちが楽しくないと入居者さんも楽しめんよ」
 これからもアショカの入居者さんと一緒に楽しく毎日を過ごしていきたいと思います。

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