夢プラン・じぃちゃんばぁちゃんの修学旅行
〜パンダちゃんが見て〜なぁ〜

ルンビニー1階ユニットリーダー 岡本将宗

 先日、ルンビニーのみんなで動物園に行ってきました。しかも、動物園と言っても砥部動物園ではありません。タイトルにもあるようにパンダがいる動物園に行ってきました。愛媛県にはパンダはいません。四国にもいません。一番近くても神戸の王子動物園です。片道約6時間。バスに揺られながら行ってきました。

 その前に。今回の夢プランについて話しておきます。ルンビニーでは一年前から週一回、回想法を行っています。11月末の回想法の中で「2012年やり残したこと・やりたいこと」について話し合いました。一人のばぁちゃんが「私は戦争で修学旅行にも行ったことがないけんなぁ。どこか旅行に行ってみて〜なぁ〜。」と一言。「何処へ行きたいですか」と聞いてみると「パンダちゃんを一度は見て〜なぁ」。その声を聞いて他のばぁちゃん達も「私も見てみたい。」「みんなで見に行こうか。」と次々に「行ってみたい」という気持ちが声になって出てきました。みんなの気持ちに応えたい。叶えてあげたい。その思いを理事長に話してみると快くOKを出してくださいました。早速計画、準備にかかりました。ルンビニーのスタッフのYさんから知り合いの旅行会社を紹介してもらい計画を進めていきました。ばぁちゃんたちの旅行で一番気になるのがトイレです。そこで愛媛県で一台しかないトイレ付きのバスを準備してもらいました。道中のトイレも大丈夫です。そして食事です。食事は旅行の楽しみの一つですので、食事はばぁちゃんたちに選んでもらいました。事前にメニュー表を見てもらい「これがおいしそうじゃなぁ」「こっちもいいなぁ」と話し合いながら決めていきました。準備している間は一日一日が早くあっという間で前日には「旅行で食べるお菓子の買い物」にも出かけました。わいわいはしゃぎながらお菓子を買うばぁちゃんたち。本当に修学旅行に行くみたいで楽しそう。出発前夜は早めに就寝。

 当日の朝。「おはよう!」とみんなに声をかけていきます。いつもは「眠たいな。もうちょっと寝る。」と言うばぁちゃんも「今日は動物園の日じゃろ?早く準備せんといかんな。」と目覚めがいい。他の方もいつもより機敏に動かれているような気がする。やっぱり楽しみごとがあると動きが良くなるよね。

 7:00「じいちゃんとばぁちゃんの修学旅行」とフロントガラスに貼られたバスでルンビニー出発。王子動物園までは途中で休憩を取りながら移動し13:30頃に到着。動物園に着くと早速パンダの看板や絵がたくさんあります。という雰囲気にみなさんも待ちきれない様子で動物園へ入って行きました。今回の旅行最大の目的、パンダの動物舎は入口近くにありました。行列に並び、背を伸ばし、目を細めて見ましたがパンダちゃんが背を向けています。木にもたれかかってリラックスしているようです。遠路6時間もかけてやってきたのに背中しか見えないなんて。しかしばぁちゃんたちは笑顔で喜んでいる。「かわいいね」「本当に白と黒なんやね」「これがパンダちゃんか〜」とそれぞれに想いに耽っている。しばらくするとパンダも立ち上がりテクテク歩きだした。チャンスとばかりにばぁちゃんたちとパンダをカメラに収めました。その後もいろいろな動物とじぃちゃん、ばぁちゃん、ご家族やスタッフを写真に撮りました。園内は坂道が多く車椅子を押しながら移動するのは大変でした。しかし、ばぁちゃんたちの普段見せないような笑顔や表情を発見出来ました。

 今回の旅行で、Tさんは何日も前から「今度動物園に行くんよな。私も連れて行ってなぁ。」と楽しみにして旅行の計画をはっきりと覚えていたり、普段は食事以外ベッド上で過ごすことが多いHさんが行き帰りの道中、目を輝かせ居眠りすることなく過ごしたり、普段会えないご家族に旅行先で出会えたり、バスの階段を何度も乗り降りしたり、カラオケで歌声が聞けたり、娘・息子におみやげを買ったり、普段出来ないようなことをたくさんしました。ビックリするようなこともありました。こんな経験が出来たのも一人のばぁちゃんの一言からです。「パンダちゃんが見て〜なぁ〜。」このばぁちゃんはおみやげにパンダの人形を買って帰りました。今も居室のテレビの脇にパンダが腰をかけています。そのパンダちゃんを見ては「パンダちゃんかわいかったなぁ」と言っています。

 動物園に行ったことは忘れるかもしれません。しかし、パンダちゃんを見たことは忘れないかもしれません。今でも思い出を引き出すように話をすると少しずつ思いだし昨日のことのように話します。このような思い出を今後も一緒に作っていきたいものです。

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