認知症の予防(5)

− 認知症と生活習慣病 −

医療法人ビハーラ藤原胃腸科 藤原 壽則

 近年、多くの生活習慣病が脳血管性認知症は勿論、アルツハイマー型認知症の危険因子であることが分かってきました。高血圧、糖尿病、メタボリックシンドロームの存在と老年期の認知症発症との関連に関する報告が行われています。

 スウェーデンで、65〜79歳の高齢者1,449人を平均21年間追求し、中年期の肥満、高血圧、脂質異常症と老年期の認知症(大部分がアルツハイマー病)の発症リスクを調べて報告している。
 それぞれの発症リスクは以下のごとくであった。

肥満(BMI 30以上)   2.1倍
高血圧症(収縮期血圧 140以上)   2.0倍
脂質異常症(総コレステロール251mg以上)   1.9倍
肥満+高血圧+脂質異常症   6.2倍

肥満
 肥満は万病のもとと言われます。
 上記のように、スウェーデンで20年かけて行われた調査では、中年期の肥満が認知症の発症リスクを2倍に高めることが報告されています。台湾での調査結果では、肥満度をBMI(体重(kg)÷身長(m)÷身長(m))を指標にして検討しています。

適正群 BMI 20.5〜22.9   認知症リスク 1.00
痩せ群 20.4以下     1.84
肥満群 25.5以上     2.44

 中年期の肥満が30〜40年後の認知症のリスクになる怖い話ですね。
 「今日から早速ダイエットを」

糖尿病
 糖尿病やその予備軍で、アルツハイマー病のリスクが高いことも報告されています。福岡県の久山町で、町と九州大学が共同して住民の追跡調査をしています。この調査の報告では、糖尿病と糖尿病予備軍(空腹時血糖が115mg/dl以上)では、アルツハイマー型認知症のリスクが3.1倍に上昇していました。

メタボリック症候群
 メタボリック症候群がアルツハイマー型認知症に与える影響をフィンランドの住民で調査した結果では、メタボリック症候群では、アルツハイマー型認知症の発症リスクが2倍に高まること、特に女性で影響が大きいことが示されています。
 動物実験でも、動物のカロリーを制限すると、老化のスピードが遅くなることが示されています。

資料

1.健康の定義
 「健康とは、肉体的、精神的および社会的(スピリチュアル)に完全に調和の取れた状態であって、単に病気でないとか、身体が弱くないということではない」(WHO憲章前文、1946)

2.BMI 肥満度 体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)

18.5以下   やせ
18.5以上〜25未満   標準
25以上   肥満

3.血圧 正常値

高齢者   140−90mmHg
若年、中年者   130−85mmHg
DM、腎障害患者   130−80mmHg

4.メタボリック症候群の診断基準

  日本 米国
ウエスト周径
(内臓脂肪チェック)
男子 85cm以上
女子 90cm以上
男子 102cm以上
女子 88cm以上
中性脂肪 150mg以上
男女とも
40mg以下
上記のいずれかを満たす
150mg以上
男子40mg以下
女子50mg以下
HDL-コレステロール
血圧 130mgHg以上
80mgHg以上
のいずれか
130mgHg以上
80mgHg以上
のいずれか
空腹時血糖 110mgHg/dl以上 110mg/dl以上
診断 必須項目+3項目中の2項目以上 5項目中3項目以上
(必須項目はない)


 
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