ビハーラへおいでよ

認知症デイサービス ビハーラ 管理者 竹村 文子

 「ビハーラ」とは、休憩するところ、散歩して気晴らしすること、寺院・僧院などを意味するサンスクリット語です。このビハーラの名称を理念に生かして、「ゆったり」「みんなで」「楽しく」を合言葉に、ご利用者様にとって安心できる居場所、ご利用者様同士が認め合い・励まし合い・支え合う関係作り、一人ひとりが輝いて過ごせる場を提供し、ご利用者様の思いや希望に添って、その人らしく輝いて生きる日々を送れるように支援していきたいと思っています。

 ご利用者様への支援を2例ご紹介させていただきます。

 
 (1)Aさんの場合
  おしゃべりが大好きで、歌は童謡・唱歌から歌謡曲・演歌まで何でも楽しまれ、いつもお茶目で笑顔がステキなAさん。
  3〜4年前から物忘れが目立ち始め、1年前からは自宅での入浴が難しくなっておられました。お試しデイサービスの日は、初めての日ということで不安や戸惑いで混乱されないように、職員の関わりだけでなく、座席や他のご利用者様との関係も考慮に入れて、受け入れをさせていただきました。久々の入浴へは、おしゃべりをされてうた方と共に、さりげなくお誘いし、不安感をできるだけ除くようにお声をかけながら、足浴から始めさせていただくと、それまでの緊張された表情は少しずつ柔らかく、周囲への気遣いをみせられて、職員の声かけにも頷いて下さいました。その後は次第に脱衣もスムーズになり、入浴され湯船に入られているご様子にアンドしました。

 入浴介助は、とてもプライベートな問題で、繊細な心配りを必要とします。認知症の進行に伴い、ご家族にとっても介護の負担は大きくなってくるでしょう。入浴をして頂けることは、その後の居心地の良さはもちろんですが、不安や緊張を和らげ、職員との間に馴染みの関係ができ、信頼関係作りへとつながっていく貴重な時間になると思います。最近のAさんは、浴室の暖簾や案内用のボードが目に入られると、多少、戸惑うこともあったり、快諾・・という状況にはならない日もありますが、ご本人のペースを尊重し、時間帯の調整やその時々の状況に合わせて、安心して頂けるような支援に努め、毎回入浴していただkていいます。

 
 デイでは、ブンネ音楽療法・パステルアート・紙芝居回想法を中心に、習字・写経・お茶会・紙細工・生け花・おやつ作り・体操等のレクリェーションを実践しながら、ご利用者様お一人おひとりの尊厳・個性・願い・可能性・希望を見出して頂けるよう個別ケアにも取り組んでいます。
 
 (2)Bさんの場合
  認知症は、その原因となる病気となる病気によって、現れる病状や治療法も異なってきます。アルツハイマー型認知症・脳血管性認知症・レビー小体型認知症・前頭側頭葉変性症をはじめ、多くの病気があるといわれています。

 約2年前に日付けや時間が分からなかったり、言葉が出にくくなり、言語障害と共に普段の生活に少しずつ変化がみられ始めた為、認知症状の進行防止と出来るだけ人との交流をしてほしいとの希望で、デイ利用を始められたBさん。

 元来、温厚で物静か、仕事一途で外に出たり、人付き合いが苦手だった方ですが、その行動は今までと異なり、周囲の環境や人との調整が上手くできず、わが道を行く行動や同じ行動を繰り返したり、感情の起伏も見られるようになられました。

 デイ利用には、毎回準備をされ笑顔で来られていましたが、ある日から突然、屋外へ走り出たり、何かを探すようにフロア内のドアを次々と開けて回られたり、視線が合わず、声かけにも全く反応されずに混乱した状態で歩き回られる行動がみられるようになりました。(ご自宅でも、ご家族の関わりに強い拒否がみられたり、対応に苦慮されて1日ドライブされたりと介護の負担が強くなっておられました。)

 その後、前頭側頭葉型認知症と診断されたことで、Bさんへの支援内容を職員間で話し合い、その症状でもある常同行動や影響されやすさを利用して、ご本人の生活歴を参考に得意なものや趣味を取り入れ、(デイでの1日の流れとも合わせて)単純で視覚的に理解しやすい活動を選択しながら、場所や対応する職員を調整し、デイでの1日の流れを日課表として作成しました。その後は、ご本人にとって、より良い生活がパターン化するように、馴染みの居場所と静かな刺激の少ない環境での個別対応で、現在は落ち着いて過ごして頂けています。

 
 その人らしさ・その方に合ったケアとは、自分自身に問いかけ、考えながら、その方にとっての楽しみ・役割・生きがいへとつながるように、ビハーラが、生活の場、小さな社会として「新しいつながり」となれれば嬉しいと思います。
 
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