癌末期を支えたタクティールケア

介護部門施設長 相原あや子

 昨年3月のビハーラだよりに「癌治療を前向きに」を書かせていただいた友人が、12月27日亡くなりました。食事療法、免疫療法、お灸、湯治など、前向きに日々過ごしていましたが、昨年8月頃から腹膜炎を併発し、腹水貯留、嘔吐を繰り返すようになりました。

 タクティールケア研究会が、不定期ではありますが、四国がんセンター患者家族総合支援センター「暖だん」ふれあいサロンで、タクティールケアを行っています。昨年7月5日に開催した時、友人を誘いました。私はタクティールを行う側で、友人は体験する側でした。友人は背中のタクティールを受け、どうだったか感想を聞いてみると「背中が温かくなり、気持ち良かったよ」とのことでした。

 腹水が貯まり始めたのはそれから一か月後で、入退院を繰り返すようになりました。「吐くけどね、食欲はあるんよ」と、言っていましたが、秋も深まっていくにしたがって食べる量が減ってきました。

 友人に対して、私に何ができるんだろう、友人は何を望んでいるのだろう、長年付き合ってきた仲でも、本心は分からない。悩みました。「Yちゃん、タクティールさせてもらっていいかな」「やってくれるん?」仕事の休みの日や早く退社できる日と、行ける日は限られましたが、タクティール施行中友人が安らかな寝息をたててリラックスしてくれる時間を共有できることは、私の癒しの時間でもありました。「ありがとう、またしてね。」食べられなくなってからは衰弱が早く、背中に手を触れる毎に痩せていくのが分かりました。

 亡くなる10日前に行った時は、麻薬の作用もあり、もうろう状態でした。耳元で「また来るね。」と言って病室を出ましたが、今日を最後にしようと思いました。最期は彼女の最愛のご家族との時間を邪魔しないでおこう、そう感じたからです。

 告別式の翌日、息子さんからメールをいただきました。「あやちゃんがしてくれるタクティール、本当に気持ちよくってねえ。」母は言っていました。本当によくしてもらってありがとうございました。

 友人を喪った心の空洞はまだ癒されませんが、タクティールという緩和ケアの一つを身につけさせて頂いていたおかげで、悔いのないお別れができました。タクティールの資格を取らせて下さった理事長に感謝です。

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