壽則先生ありがとうございます

介護部門施設長 相原あや子

 先生、今はお身体もお心も安らかでいらっしゃいますか。

 今から17年前、「相原、これから社会の大きな課題となる認知症に関わることをやらないか」と、先生に声を掛けていただきましたよね。ちょうどその時私は前職を退職し、これから何をしていこうと模索していました。前職で私の課題であった認知症の看護・介護、先生にご指導していただきながらさせていただこう、即決意しました。介護福祉士のGさんと共に、先生とGさんと私の3人4脚のスタートでしたね。

 認知症の人の生活支援、介護、そしてターミナルケア、先生のご指導のもと、職員心を一つにして取り組んで参りました。

 思い出は尽きないのですが、中でも鮮明に思い浮かびますのが、臨終行儀です。K様がもういよいよという時、先生や僧侶の方のご指導のもと、厳かに行われました。阿弥陀像の左手とK様の右手が五色(青黄赤白黒)の幡で結ばれ行儀が進行していきます。ふと、先生のお姿が私の視野に入りました。先生は小刻みに震えておられ顔には玉の汗。先生のそのお姿を目にして、この行儀が現代に行われる事の意味の重大さを思い知りました。古代行われ現代はほぼ途絶えているこの行儀で、臨終者を安らかな死へと導く、その荘厳さに先生は感動され興奮を抑えがたかったのですね。その想いが私の中にズンと伝わってきました。K様はきっと極楽浄土に導かれたことでしょう。

 医学のことはもちろん、宗教のこと、一般常識的なことなど、先生には多くのことを教えていただきました。「お前、こんなことも知らんのか」と笑われたことが何度かあったことでしょう。楽しい思い出です。

 介護報酬改定の度厳しくなる中、多くを語られない先生が職員のことを第一に、心を砕かれていたこと、立場上身近におりました私はよく存じ上げていました。又、立場上先生を悩ますようなことも申し上げましたこと、お許しいただけますでしょうか。

 先生のマジック、もう見られないのですね。特に、お金が増えるマジックが人気でしたね。よく助手をさせていただき、色々なところに行かせていただきました。これも今となっては楽しい思い出です。

 先生、私たちはこれからもビハーラ(心身の安らぎ・くつろぎ)の精神を引き継ぎ、精進してまいりますので、どうか見守っていてくださいね。

 壽則先生、ありがとうございます。

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