認知症国際会議をご存知でしょうか?

認知症デイサービスビハーラ 竹村文子

認知症の国際会議(第32回国際アルツハイマー病協会国際会議)が、4月末に京都市で開かれ、大きな注目を集めました。

日本での開催は、今回が2回目。13年前にも、同じ京都で開かれており、当時、認知症の本人が自分の言葉で偏見解消などを訴えました。その時に来日したオーストラリアのクリスティーン・ブライデンさんが「私たしの能力を信じてください。」と発言され、認知症に対する理解は、平穏に幸せに生きてもらおうという発想から、本人の人権や人格を尊重するようにへと変わっていきました。この年の暮れに「痴呆」の名称は「認知症」に変わり、これ以降、認知症の人たちの活動の場や交流は加速度的に広がっていきました。

今回の会議には、世界70か国、約4000人の参加があり、認知症当事者の参加がとても多かったとのことでした。高齢者のイメージが強い認知症ですが、若年性認知症の人たちが積極的に自己決定の重要性を語り、不安や絶望を経て公の場で語る行動は、より強いメッセージになったことと思います。
そして、13年前にこの会議で、認知症を「心が空っぽだという偏見によって引き起こされる社会の病気でもある。」と訴えたブライデンさんが、「(13年前にこの会議で)リレーのバトンを渡すと発表したことを覚えています。」と振り返っていたというでした。

日本でも、2014年に日本認知症ワーキンググループ(認知症当事者の会)が発足され、当事者の視点で政策提言などに取り組まれたり、全国で講演活動や交流をされたりと意欲的に活動されています。

日本では、2025年に認知症の人が700万人に増え、高齢者の5人に1人になる見込みだそうです。医療や福祉の枠組みを超え、企業を含めた地域社会全体が認知症と向き合う時代がやってきたといわれています。
日本でも、大手スーパーが、認知症の人への接客を学ぶ研修を全社的に行っていたり、ある大手の銀行では、毎年、新人行員の全員が認知症サポーターの養成講座を受けており、グループ全体で1万人に。また、あるコンビニエンスストアでは、地域の見守り拠点として活用してもらえればと約360自治体と高齢者見守り協定を結んでいるそうです。

かつて、認知症の人は「何もわからない」という偏見の中で孤立していました。本人の生きる姿は家や施設に隠され、地域との接点は極めて乏しかった状況ですが、近年、認知症の人たち自身の行動や行動が、偏見の壁を崩し、同じ認知症の人を励まし、社会の意識を変える力になっていることを強く感じます。
認知症の人は、全世界に4750万人、2050年には3倍近くに増える見込みで、世界的な課題となっています。日本でも、認知症の人が当たり前に暮らす地域作りは、すでに動き始めています。認知症当事者に続き、地域や企業は変わりつつあります。
今後、認知症を「わがこと」と受け止める社会に変わっていくことが、認知症の本人・家族・支援者も含めた「当事者」の視点に立った、認知症に優しい社会の実現になるのではないかと思います。

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