咳(せき)
咳(せき)
咳(せき)はいろんな原因で起こることが知られており、主にのどから肺の一番奥の肺胞までの空気の通り道(気道)の異常または刺激により起こります。
気道に侵入した異物や病原体を咳によって体外に排出しようとする一種の生体防御反応です。
他に気道の異常がなくても出る咳があり、胸水や耳の穴の刺激などによる神経反射によるもの、アレルギー、薬の副作用、ストレスなど、咳の原因はいろいろとあります。
痰を伴う咳か、その痰の色はどうか、朝や夜など咳の出る時間帯があるか?、何かきっかけはあるか?、ゼーゼー・ヒューヒューするか?、胸焼けを感じるか?、などで様々な疾患の鑑別が必要になります。
<咳の原因疾患>
かぜ、インフルエンザ、気管支炎、肺炎、マイコプラズマ、クラミジア、百日咳、肺結核、喘息、慢性閉塞性肺疾患(慢性気管支炎、肺気腫、たばこ病)、肺線維症、肺がん・その他の肺疾患や、鼻炎、副鼻腔炎、心不全、逆流性食道炎、ストレス、薬の副作用など。
<咳の持続時間からみた原因>
- 1~3週 : かぜ、アレルギー性鼻炎、急性副鼻腔炎、マイコプラズマ肺炎、クラミジア感染、特発性器質化肺炎、誤嚥など
- 1~2ヶ月 : 気管支炎や肺炎の後遺症、マイコプラズマ肺炎、喘息、過敏性肺炎、 特発性器質化肺炎、百日咳など
- 2ヶ月以上 : 慢性副鼻腔炎、気管支喘息、逆流性食道炎、鼻ポリープ、 慢性閉塞性肺疾患、高血圧治療薬の服用、アレルギー性気管支炎など
- 不定: 肺癌、癌転移、肺結核、サルコイドーシス、びまん性汎細気管支炎、 心不全など
<咳の出る時間帯からみた咳の原因>
- 起床後から午前中にかけての咳は、逆流性食道炎、びまん性汎細気管支炎、気管支拡張症などがあります。
- 就寝後の咳は心不全、肺結核などで多く見られます。
- 夜明け前に起こる咳は気管支喘息の場合があります。
- 1日中出る咳は後鼻漏(副鼻腔炎)、気道感染症の残遺症状としての咳など。
- 冷たい空気を吸ったときに誘発される咳は気管支喘息、気道過敏症など。
- 人と会話をするとき時の咳は心因性の場合が多いとされています。
<他に合併する症状からみた咳の原因>
- 鼻水や痰は感染症、鼻炎などに伴う咳に多く見られます。
- 感冒などでは初期の鼻水・や痰は透明ですが、次第に黄色となり時には黄緑色になります。
- 発熱も感染症でよく見られますので熱を測っておきましょう。
- 呼吸困難は肺の異常または心臓の異常を示しています。
- 胸の痛みが伴う場合は、肋膜炎や気胸といった病気を疑います。
- むくみがある場合は心不全や肺水腫などにも注意が必要です。
<体質、既往歴、環境からみた咳の原因>
- 家族歴:家族や親戚(血縁のある方)に気管支喘息・アレルギー素因・慢性副鼻腔炎の方がいる。
- 既往歴:これまでに副鼻腔炎、アレルギー性鼻炎、鼻ポリープになったことがある
- 環境因子:喫煙、就業環境(粉塵、刺激性ガス、縫製業など)、住環境(シックハウス、焼却施設、交通量の多い道路など)、ペット飼育、薬剤服用(降圧薬、漢方薬など)