肺炎と予防接種

鼻や口から肺に至る空気の通り道は気道とよばれ細菌やウィルスが侵入しやすい部位です。これらの病原体が気道から肺に感染し炎症を起こすのが肺炎です。
肺炎は日本人死亡原因の第4位です。
肺炎の病因となる病原体で最も多いのが肺炎球菌で、60歳以上の人の肺炎の半数以上が肺炎球菌によるものといわれています。
肺炎球菌性肺炎は他の肺炎に比べ重症化しやすいという特徴があり、菌血症、髄膜炎、感染性心内膜炎を起こしたりすると命にかかわることもあります。
65歳以上の高齢者、心臓病、腎臓病、呼吸器系の病気のある方は重症化しやすいといわれています。インフルエンザ流行期には肺炎にしめる肺炎球菌性肺炎の割合はさらに高まります。
肺炎が疑われたときはまずエックス線検査で肺の状態を調べます。病原体をつきとめるために、痰を採取し培養して調べる細菌検査が必要ですが、結果がでるまでに時間がかかるため、当院では15分で判定可能な尿中抗原検出試薬なども導入しています。
治療には原因となっている細菌に対して抗菌薬が1~2週間用いられます。
肺炎の予防としてはかぜやインフルエンザにかからないようにすることが重要ですが以下の点に注意が必要です。

 

  • 睡眠は十分にとり栄養バランスのとれた食事をとりましょう。
  • 外出時人ごみをさけマスクをするようにしましょう。
  • 外出からかえったら十分な手洗いとうがいを行いましょう。
  • 高齢者や慢性疾患を有する方はインフルエンザの予防接種を受けましょう。
  • 肺炎球菌ワクチンを施行しておくと菌血症など重症化の予防効果があることが知られています。肺炎球菌ワクチンは1回の接種で約5年効果が持続し、予防効果は80%といわれています。